発刊にあたって

本書は2001年2月23日、4月24日、7月27日の3日間わたって相国寺会議室で行われた連続講義の記録である。講師の龍谷大学教授田中滋氏とは古都税問題以来のお付き合いである。
古都税問題は京都市が拝観者に課税をするため、寺院に徴税義務を負わせるというもので、1983年に京都市議会において審議抜きで可決され、1985年7月に実施されたのだが、1987年にわずか1年半あまりで廃止された。
京都市がその構想を明らかにしてから、6年近い年月を経て終結したのだが、その間京都仏教会は一貫して「拝観客から税金は取れない」、「信教の自由、政教分離の原則に違反する」として反対運動を繰り広げ、条例を廃案に持ち込んだ。その過程で私たちは僧侶自身の宗教者としての自覚、認識のなさを見せつけられたのである。この問題が持ち上がり、解決までに長期間を費やさざるを得なかった最大の原因は仏教寺院、僧侶の側にあった。その反省にたち、京都仏教会は<宗教と政治検討委員会>を開設し、学者の先生方を交えて多様な社会問題を取り上げ検討し、宗教者として提言を行い、運動を展開してきた。
京都の景観問題では京都ホテルの高層化反対運動、カルト問題や日弁連の宗教被害者に対するガイドラインの問題では日弁連の宗教に対する無理解を指摘し、討論を行ってきた。宗教法人法改正問題では、京都仏教会とともに、相国寺は改正法によって義務づけられた書類の提出拒否という仕方で反対を続けている。まさに信教の自由、政教分離の原則を脅かす重大な問題であるにも関わらず、大半の宗教者はこの重大性を認識せず、無原則に受け入れ、従っている。
20年前私たちが戦った古都税問題の反省は、多くの宗教者の意識を変えるまでには至っていない。しかし少数ではあっても、呼びかけに理解を示し、問題意識を持っている宗教者は増えた。またその道筋を作ることができたことは、将来の展望に光を投げかけている。相国寺の教化活動委員会がその道筋への案内役としての役割を果たすことを願う。
田中滋氏は京都仏教会<宗教と政治検討委員会>のメンバーとして様々な助言、激励をいただき、京都仏教会に関わってこられた。その経験を基に、我々宗教者が社会からどのように見られ、期待されているか。また現代社会において僧侶の社会的役割とは何か、という問題を提示して頂き、これから我々は何をなすべきかということを提言頂いた。混迷を深める現代社会において、私たち宗教者は今世紀、どのような未来を提示することができるのか。それは宗教者の重要な役割である。
目 次

| 第一講. |
「政教分離の原則」を脅かす二つの問題 −国家神道化の動きと宗教法人批判キャンペーン− |
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| 一. |
マスメディアというフィルター |
4 |
| 二. |
「政教分離の原則」を脅かす二つの問題−社会学的な視点 |
8 |
| (1) |
社会的重要性の評価 |
11 |
| (2) |
「政教分離の原則」に対する侵害可能性 |
16 |
| 三. |
オウム真理教問題の位置 |
20 |
| 四. |
宗教法人法改正を創価学会・オウム真理教 |
23 |
| 五. |
宗教法人の「家畜化(domestification)」への道 |
26 |
| 六. |
「荒ぶる神」への対抗は「荒ぶる神」の力で |
34 |
| 第二講. |
「国家神道からの自由」と「信教の自由」 −戦後知識人と宗教への差別− |
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| 一. |
「国家神道からの自由」と「信教の自由」との混同 |
43 |
| 二. |
国家神道の排除−政治の責任の宗教への帰属 |
47 |
| 三. |
宗教からの自由 |
62 |
| 四. |
宗教からの自由と宗教のモデル |
66 |
| 第三講. |
ポストモダンと宗教 |
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| 一. |
モダンからポストモダンへ |
73 |
| 二. |
ポストモダンにおけるアイデンティティ |
78 |
| 三. |
ヒューマニズムとエコロジー |
87 |
| 四. |
媒介者としての宗教者 |
100 |
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| 費 用: |
送料込み実費 ¥1000 |
| 申込方法: |
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| 申込先: |
〒602−0898
京都市上京区今出川通烏丸東入
相国寺門前町701
相国寺 教化活動委員会 宛 |
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