展覧会概要

日本の伝統的な文化である能や茶道、華道、香道などは、室町時代に源を発しています。そして、これらの文化の庇護者であり、推進者でもあったのが室町幕府3代将軍足利義満であり、8代将軍足利義政でした。そして後世義満の時代の文化を「北山文化」、義政の時代を「東山文化」と呼ぶようになりました。
金閣寺(相国寺塔頭鹿苑寺)は、義満が自らの別荘「北山殿」を造営したおりに建てられた観音殿に、金箔が貼られていたことから、いつの頃からか「金閣」と呼ばれるようになりました。また銀閣寺(相国寺塔頭慈照寺)は義政が造営した「東山山荘」内に建てられた観音殿を、誰とはなく「銀閣」と呼ぶようになったことから付いた呼称です。
創建以来、鹿苑寺は600年、慈照寺は500年の歳月が経ち、その中で様々な文化財が伝えられてきました。それらは本山境内の相国寺承天閣美術館で順次展示・公開しています。また平成6年、両寺は古都京都の文化財として、「世界文化遺産」に登録されました。
今回の展覧会では、これら金閣と銀閣の寺宝の中から精選された墨蹟・絵画・茶道具などの数々の名品で、金閣寺と銀閣寺の悠久の歴史と文化をご紹介します。江戸時代初期の金閣の姿を描いた「金閣寺遊楽図屏風」や、池大雅が克明に銀閣寺の実景を写した「慈照寺境内図」など当館初公開の作品を含む、書画約60点、工芸30点の名品の数々が出展される、(社)京都市観光協会の「第44回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開」に協賛してのこの特別な機会をぜひご高覧ください。
【 第44回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開 】
http://www.kyokanko.or.jp/huyu2009/2009huyutabi_index.html
みどころ

《北山文化の華》
長らく金閣の最上部を飾り、明治期の修理でその役目を譲って別に保管されていたために昭和期の焼失をまぬがれた京都市指定文化財「旧金閣閣上金銅鳳凰」は、北山文化の残照を留めています。

旧金閣閣上金銅鳳凰
足利義満の帰依を受けた傑僧、春屋妙葩が清らかな書体で揮毫した「春屋妙葩墨蹟 就雲興庵入塔仏事」は、高僧の到達した境地を窺わせています。
室町時代は、活発な中国との交流によってもたらされた中国の文物――「唐物」が特に愛好された時代でもありました。足利義満が愛蔵した「江天暮雪図」牧谿(もっけい)筆は、足利将軍家を出てから織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という戦国時代の有力者のものとなった貴重な作品です。

「江天暮雪図」牧谿筆
唐物の工芸品としては、稀少な南宋期の青磁の中でも有数の出来栄えを誇る「砧青磁筍花入」 の美しい青が必見です

砧青磁筍花入
《東山文化の侘び》
東山文化の時代には「幽玄」という言葉に象徴される、侘びた美が尊ばれました。この頃には禅僧が余技として絵を描き、漢詩文による賛を加えて詩書画の交響を楽しむという「禅余画」「詩画軸」が好まれるようになっていました。中でも特筆されるのは、今回初公開となる東山御物「真山水図」天隠龍沢・与可心交賛 如拙筆です。相国寺の画僧だった如拙が描き、当時の高僧たちが賛を加えたこの作品は、足利義教が所持していたことを示す「雑華室印」が捺されていることから将軍家旧蔵と知られるものであり、貴重です。

東山御物「真山水図」
天隠龍沢・与可心交賛 如拙筆
優美な姿が印象深い「古瀬戸鶴首茶入」は足利義政の遺愛の品として伝えられたもので、歴代の将軍の中でも随一の文化人であった義政の美意識を伝えています。義政が深くその学識を愛した当時有数の高僧、横川景三については「横川景三墨蹟 鄂州寓館巌澗宅」(がくしゅうのかんがんかんのたくにぐうす)が、その教養を映しています。

「古瀬戸鶴首茶入」足利義政所持
《近世の輝き》
室町幕府が終焉を迎えてからは、その庇護を失って一時は寺運が衰退した両寺でしたが、歴代の住持の苦心の末に見事に復興を果して現代に至っています。その過程で所蔵品に加わったものにも、重要な作品は数多く含まれています。
金閣寺については、大書院の全50面の襖絵に筆を揮った伊藤若冲が特筆されます。今回は常設展示の重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図・月夜芭蕉図」に加え、「中鶏左右梅図」などの作品を通じて、近年とても人気の高い若冲の魅力を改めてご紹介します。

「中鶏左右梅図」(中幅)
伊藤若冲筆
銀閣寺の方丈は、池大雅と与謝蕪村の襖絵で飾られています。今回は、このうち銀閣寺方丈特別公開の折にも見ることができない上官の間の「山水人物図」与謝蕪村筆が展示される、貴重な機会でもあります。

「慈照寺方丈襖絵 山水人物図」与謝蕪村筆
茶道具も、近世の好みを映す名品が蔵されています。千宗旦の箱書が添う「黒茶碗 銘 喝食(かつしき)」長次郎造や、近世初期の日本の茶人が中国へ注文して作らせた染付磁器の中でも最高の一点と評価されている「祥瑞一閑人反鉢」(しょんずいいっかんじんそりばち)などが、この時代の茶道芸術の到達点を示しています。

祥瑞一閑人反鉢
《閣と庭とが織り成す美》
金閣寺と銀閣寺の魅力は、もちろん作品だけに留まりません。金閣・銀閣をはじめとする建築と庭園の美しさは、よく知られているとおりです。そして、この空間は現代だけではなく、昔の人々の心をも捉え、数々の名作が描かれることとなりました。
共に当館初公開となる「金閣寺遊楽図屏風」は江戸時代前期の金閣寺での人々の遊楽の姿を、「慈照寺境内図」維明周奎賛、池大雅筆は、大文字山をも含んだ、広大な境内の様子を情感ゆたかに描いています。本展で、現代の景観と比較しながら、画中の散歩をお楽しみ下さい。

「金閣寺遊楽図屏風」(部分)

「慈照寺境内図」
維明周奎賛 池大雅筆
常設展示紹介

第一展示室
夕佳亭

第一展示室「夕佳亭」展示風景
http://www.shokoku-ji.or.jp/kinkakuji/guide/sekkatei.html
第二展示室
重要文化財 伊藤若冲筆
「鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図床貼付」

「鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図床貼付」展示風景
http://www.shokoku-ji.or.jp/jotenkaku/treasure/index_04jakuchu/ojoin.html
開催要項

世界遺産 金閣・銀閣 寺宝展
―墨蹟・絵画・茶道具の名品―
平成21年12月13日(日)〜平成22年3月22日(月・祝)
平成22年1月9日(土)〜平成22年3月22日(月)
会 期 中 無 休
「第44回
京の冬の旅」協賛
開館時間:午前10時〜午後4時30分(入館は午後4時まで)
拝観料:一般600円 小学生:300円
(15名以上の団体は一般540円 小学生270円)
※障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は割引させていただきます。
※バリアフリー対応
会 場 : 相国寺承天閣美術館
主 催 : 相国寺承天閣美術館
協 力 : 社団法人京都市観光協会
問 合 せ: 075-241-0423
なお、団体予約に関するお問い合わせにつきましては、京都市観光協会(TEL(075)752−0227、FAX(075)752−5999)までお願いいたします
承天閣美術館 事務局
〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入